適切な意思決定支援の指針

 医療法人徳洲会 松原徳洲会病院

適切な意思決定支援の指針

令和658日策定

 

 

Ⅰ.【基本方針】

松原徳洲会病院及び関連施設は、人生の最終段階において、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、患者がその人らしい最期を迎えられるよう、多職種で構成される医療・ケアチームが患者・家族等に適切な説明を行い十分な話し合いを行い、患者本人の意思決定を尊重し、医療・ケアを提供することに努める。

 

Ⅱ.【人生の最終段階の考え方】

1.人生の最終段階の定義

「人生の最終段階」とは、複数の医師が客観的な情報を基に、適切な治療を行った場合でもその疾患の回復が期待できないと判断し、患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者、家族、医師・看護師を含めた医療従事者等の関係者が納得した段階と定義する。すなわち、「人生の最終段階における医療とケア」とは人生の最終段階と判断された状況において、その後に行うすべての医療的行為及びケアを意味する。

 

Ⅲ.【人生の最終段階における医療・ケアの在り方】

1.    医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である。

2.    本人の意思は変化しうるものであることを踏まえ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えられるような支援が医療・ケアチームにより行われ、本人との話し合いが繰り返し行われることとする。

3.    本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、 家族等の信頼できる者も含めて、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要である。この話し合いに先立ち、本人は特定の家族等を自らの意思を推定する 者として前もって定めておく。

4.    人生の最終段階における医療・ケアについて、医療・ケア行為の開始・不開始、医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等は、医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断する。

5.    医療・ケアチームにより、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、本人・家族等の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療・ケアを行うことが必要である。

6.    生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は、本指針では対象としない。

※ここで言う「医療・ケアチーム」とは、治療・ケアに関わる医師、看護師、コメディカル、介護従事者、ソーシャルワーカー、緩和ケアチーム、褥瘡管理チーム、栄養サポートチーム、医療安全管理委員会等が入る事が想定される。

 

 

Ⅳ.人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続

人生の最終段階における医療・ケアの方針決定は次によるものとする。

 

1.本人の意思の確認ができる場合

1)方針の決定は、本人の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされることが必要である。そのうえで、本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえた本人による意思決定を基本とし、多専門職種から構成される医療・ ケアチームとして方針の決定を行う。

 

2)時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要である。この際、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返し行われることも必要である。

 

3)このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、診療録にまとめておくものとする。

 

 2.本人の意思の確認ができない場合

次のような手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要がある。

 

1)家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本

人にとっての最善の方針をとることを基本とする。

 

2)家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。

 

3)家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。

 

4)このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、診療録にまとめておくものとする。

 

 3.複数の専門家からなる話し合いの場の設置

 

以下の場合は複数の専門家からなる話し合いの場を別途設置し、医療・ケアチーム以外の者を加えて、方針等についての検討及び助言を行うことが必要である。

・上記1及び2の場合において、方針の決定に際し、医療・ケアチームの中で

心身の状態等により医療・ケアの内容の決定が困難な場合

 

・本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合

 

・家族等の中で意見がまとまらない場合、医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合等

 

 

本指針は、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を規範とし策定している。

 

 

                       2024年 5月 8日 策定

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