婦人科

当診療科の特徴

当科では、月経不順や無月経、生理痛、過多月経よる貧血などの月経関連症状、のぼせや発汗、肩こりなどの更年期症状、また子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫などの良性疾患から子宮がんや卵巣癌などの悪性腫瘍治療、子宮脱や骨粗しょう症治療など、あらゆる女性のライフステージにおける婦人科疾患に対応した診療を行っています。

患者様と十分にコミュニケーションをとった上で、安全で適切な医療を提供できるように心掛けています。

手術は腹腔鏡や子宮鏡手術を積極的に導入し、日帰り手術や短期入院治療により、患者様の早期の社会復帰を実施しています。

毎日ではありませんが女性医師外来も行っており、子宮卵管造影などの不妊検査や排卵誘発、人工授精などの不妊治療にも対応しています。

また子宮がん早期発見や予防のため、子宮頸癌ワクチンやがん検診(市民検診)や各種ドック健診を実施しています(予約制)。ご希望の方は事前にご連絡下さい。

お困りの症状や対象疾患など

1)月経(生理)や不正出血などに関するトラブル

1.  月経痛(月経困難症)や月経随伴症状

・  生理に伴う腹痛腰痛

・  頭痛、吐き気や嘔吐、乳房緊満

・  イライラ、不安、抑うつ、食欲低下、

・  ねむけや集中力低下など

 

2.不正性器出血、過多月経など

・  1日に何度もパッドを交換しないといけない。

・  生理が10日以上ダラダラ続く。レバーみたいな塊がたくさん出る。

・  生理と生理の中間頃に出血がある。排尿時に血がつくなど・・

 

3.  月経不順や無月経、希発月経、頻発月経などの月経周期異常

・  周期がバラバラ。

・  何か月も生理が来ない。

・  月に2回も生理がくるなど・・

 

対象疾患:月経困難症、月経前症候群、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮ポリープ、卵巣腫瘍やホルモンバランス異常や子宮がんなど

 

月経困難症とは・・

軽度のものも含めると約8割の女性が月経痛を自覚されていますが、毎回生理のたびに強い痛みを伴う場合は月経困難症が疑われます。月経困難症の症状は痛みだけではなく、腹部膨満感、頭痛、嘔気、疲労・脱力感、食欲不振、いらいらなどの多彩な症状を認める場合も多く、「毎月の生理がつらい、しんどい」と本人が感じれば月経困難症として治療の適応があります。月経困難症治療を継続して行うことにより、月経に伴う憂鬱な時間を改善できる可能性があります。以前に比べて月経痛がつらくなってきたと思われたら、一人で我慢せずに、是非一度婦人科でご相談されることをお勧めします。

 

 

 

丁寧な問診や、癌検診、内分泌検査、超音波検査やMRI検査、スコアリングなどの各種検査により正確な診断を行い、日常生活や食事栄養指導などを行っています。症状が持続し、日常生活にも支障がある場合などは下記の種々の薬物療法を行っています。

 

・鎮痛剤や鎮痙剤

・各種ホルモン療法・・

低用量ピル(LEP)、黄体ホルモン製剤、GnRHアナログ製剤などによる内分泌療法

・各種漢方療法

・抗不安薬、抗うつ剤 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)治療など

 

子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍などが見つかった場合や、前がん病変や悪性腫瘍などが疑われた場合は手術治療を必要とすることもあります。当科では対応困難な専門治療が必要と判断される場合は、適切な医療機関をご紹介いたします。

2)妊娠、流産、不妊、避妊などに関するご相談

 

現在、分娩は取り扱っておりませんが、妊娠初期の診断や、阪南中央病院で出産予定の妊婦様はオープンシステムで当院でも妊婦健診を実施しています。

不妊症や不育症については各種血液検査や感染症などのスクリーニング検査、子宮卵管造影(卵管通過性検査)、排卵誘発や排卵検査、精液検査、タイミング療法や人工授精までは当院で対応しています。

体外受精(IVF-ET)や顕微授精(ICSI)などへのステップアップが適切と判断される場合は、高次の不妊専門治療施設にご紹介させて頂いています。

また避妊相談としては、予防治療としは低用量ピルや子宮内避妊器具(IUD)留置、緊急避妊などにも対応しています。

 

3)閉経前後の更年期症状

のぼせ、発汗、肩こり、頭痛腰痛、手足の冷え、むくみ、不眠不安、イライラなどの諸症状のトラブル・・・

対象疾患:更年期血管運動症状、甲状腺機能異常、自律神経失調症、不安障害、不眠症など

                     

内分泌検査や問診による更年期スコアリングなどを行います。閉経する前から症状が出現することも多く、数年間持続する患者様もおられます。日々の生活の質を落とすような症状が比較的強い場合は治療適応となります。卵巣機能の低下(女性ホルモン=エストロゲン分泌低下)などが主な更年期症状の原因ですが、この年代では仕事や子供の受験や就職、家族や友人などの人間関係の変化、親の介護など周囲をとりまく環境の変化なども多い時期であり、多くの女性が何らかの身体的または精神的なストレスや体調変化を自覚されています。

従来からよく行われているホルモン補充療法や漢方治療などの治療に加え、最近ではイソフラボン製剤のサプリメントやプラセンタ治療などの治療など複数の選択肢が増えてきています。

4)帯下(おりもの)の増加、外陰部のかゆみ、外陰部痛、など

対象疾患:細菌性膣外陰炎、子宮留膿腫、萎縮性膣外陰炎、各外陰湿疹や外陰部腫瘍など

 

帯下増加やかゆみ、疼痛の原因を丁寧に検索し原因を検索する必要があります。

細胞診や膣や子宮の分泌物などを採取して感染症検査を行います。帯下増加の原因が感染症が疑われる場合は抗菌薬や定期的な膣内消毒を行います。また掻痒(かゆみ)の原因としてはかぶれ(接触性皮膚炎)や頻回の陰部洗浄による皮膚炎(皮脂欠乏症性湿疹がかゆみの原因であることも多いです。症状や炎症所見が高度な場合は抗炎症薬やステロイド薬、抗アレルギー薬を用いて症状の改善を図ります。

性感染症の検査も必要な場合は行います。コンジローマ外陰炎、梅毒やトリコモナス膣炎、クラミジア子宮頚管炎、性器ヘルペス感染症などの疾患に対しては日常生活指導やパートナーの治療なども同時に行う必要もあります。

5)外陰部違和感や排尿障害、頻尿、尿失禁など

対象疾患:骨盤臓器脱(膀胱子宮脱)、膀胱炎、神経因性膀胱、過活動膀胱など

 

原則保存的治療(生活指導やペッサリーリング、骨盤底筋体操指導)で対応していますが、症状改善ない場合は手術加療を行います。頻尿や尿失禁などは尿検査や詳細な問診などにより疾患を鑑別し各種薬物治療を行います。治療抵抗性の場合は電気刺激治療などの併用や専門科にコンサルトを行います。

6)骨粗鬆症や生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)など

ステロイド薬を長期服用されている方や、腰痛などの関節痛みがある場合、閉経が比較的早かった場合などは骨塩量が減少していないか一度骨密度検査を受けられることをお勧めします。骨量が減少している場合、将来転倒時などの骨折リスクが高くなるため、カルシウム製剤や活性型ビタミンD3製剤、エストロゲンやSERMなどのホルモン剤、ビスフォスフォネート製剤等の骨吸収抑制剤などの各治療薬により骨量増加や骨折予防を行います。

また2次性高血圧の除く本態性高血圧や脂質異常症、2型糖尿病なども食事栄養指導や生活指導、内服治療など対応しております。コントロール不良な場合は各内科専門医にご紹介させて頂きます。

7)手術治療内容、実績など

手術を受けられる患者さんには、安全な手術が第一優先であることは当然ですが、美容上にも十分配慮し術式(開腹、内視鏡手術)を選択しています。

手術例

子宮頸部の異形成・上皮内癌など子宮頚部の前癌病変に対する子宮頸部円錐切除術

子宮内膜ポリープ、子宮粘膜下筋腫に対する子宮鏡下手術を積極的に行っています。

子宮筋腫や卵巣のう腫、子宮内膜症に対する手術

低侵襲手術である腹腔鏡下手術を積極的に取り入れています。

手術症例の多くは現在腹腔鏡下手術で対応しており、短期間の入院での加療が可能です。

子宮脱の治療(生活指導や骨盤底筋体操指導、ペッサリーなどの保存的治療や膀胱子宮脱手術などの外科治療も実施しています。

流産、人工妊娠中絶手術(妊娠3か月(11週)まで。中絶手術の場合は手術に伴う検査や投薬、手術費などは自費扱いとなります。

手術実績  2022年  
   
≪対象疾患≫  
子宮頚部異形成 16
子宮内膜ポリープ 9
子宮筋腫・腺筋症 39
卵巣腫瘍 34
子宮悪性腫瘍 8
骨盤臓器脱 7
その他 11
(一部重複あり)  
   
   
≪手術術式≫  
開腹手術 11
腹腔鏡手術 22
子宮鏡手術 17
膣式手術 22

外来担当医表

担当医師

金山 清二

婦人科部長

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